新たな資金確保の手段としてクラウドファンディングが注目を集めている中、大学が行ったクラウドファンディングプロジェクトのうち、約6割がREADYFORと共にプロジェクトを進めていることが弊社の調査で分かりました。関連記事:【2021年調査】多額の資金獲得に成功した大学クラウドファンディングランキングなぜREADYFORのサービスが選ばれているのか、そしてクラウドファンディングを進めていくうえで大切な「支援者の層」の考え方など、業界のトップランナーであるREADYFOR株式会社のキュレーター部・医療部門リードキュレーター・金久保 智哉さまにお話をうかがいました。 READYFOR株式会社 キュレーター部 医療部門リードキュレーター 金久保 智哉さまメガバンク/法人営業担当を経て、「既存の金融システムでは生み出せないお金の流れを生み出したい」という思いでREADYFORに参画。医療カテゴリ担当として、数多くの医療機関、大学プロジェクトに伴走。現在までに5億円以上の資金調達をサポート。2020年ファンドレイジング大会 「コロナ禍のクラウドファンディングから私たちが学ぶこととは?」青森公立大学シンポジウムほか、年間20本以上のセミナーへ登壇。<目次>クラウドファンディングの現状ーー弊社の調査では2015年頃からクラウドファンディングを行う大学が増え始めていることが分かりましたが、実際に大学のクラウドファンディングの市場は拡大傾向にあるのでしょうか?金久保さまREADYFORが携わってきた大学プロジェクト全ての寄付金額を合算すると、約13億円という規模まで拡大しています。(2022年1月現在)全体の傾向ではかなり増加傾向にあるというのが直近の大学関連プロジェクトの状況です。ーー近年の新型コロナウイルス感染拡大後、医療関係のプロジェクトも増加しているのでしょうか?金久保さま医療系のプロジェクトは増加傾向にあります。そもそも、コロナ以前から徐々に大学におけるクラウドファンディングの認知は広がりを見せていました。そのような中で、パンデミックの影響もあり、コロナ関連の大学プロジェクトが多く公開されていった経緯がございます。今ではコロナ関連のプロジェクトに限らず、多様なプロジェクトが増えてきています。ーーコロナ禍になってから学生支援のプロジェクトに盛り上がりが見られたように思うのですが、大学への支援であったり寄付に対しての関心は高まっているのでしょうか?金久保さまあくまでも「クラウドファンディング」を通してですが、大学寄付への関心の高まりは感じています。大学に限った話ではなく、クラウドファンディング業界全体の話としても、コロナ禍以降、クラウドファンディングを通じて支援をする方、支援を集める方の両方の層が広がってきています。この傾向が大学への寄付にも影響を与えているのではないでしょうか。クラウドファンディング成功のための重要な視点ーー続いて、数々のプロジェクトに携わってこられたREADYFORさまからの視点で、クラウドファンディング成功のポイントを教えてください。金久保さまプロジェクトのターゲット (寄付者) の層をしっかりと分析することが大切だと思います。一般的にクラウドファンディングの支援は、同心円の輪のようにご支援の輪が広がっていきます。金久保さまこの同心円の中心にいらっしゃるのが、大学の先生方、つまりプロジェクトの主人公になる方々なんです。図にA層と記載をしておりますが、先生が直接ご支援をお願いするメールを送ったり、直接会ってご支援のお願いをしたり、そのような方々からまずはご支援が入ってきます。このA層の方々が「こんなプロジェクトに支援をしてみたから、ぜひ皆さんも支援を」というようにどんどん情報を広げていただくことによってB層まで支援を得ている状況になり、最後に一般層であるC層にたどり着く。そのような軌跡を描くことが多いですね。もちろん、これまで弊社でサポートしたプロジェクトの中で、C層だけの支援で目標を達成したプロジェクトは0ではありません。ただ、C層の動きは読み切れないプロジェクトの方が圧倒的に多いです。なので、しっかりとA層・B層・C層がどこにあるかを分析して、それぞれに対して広報戦略を立てていくことが重要となります。ーー詳細に解説していただきありがとうございます!ちなみに、クラウドファンディングの目標寄付金額達成率は業界平均でどれくらいなのでしょうか?金久保さま業界平均で見てみると、目標達成率は30%ほどと言われています。弊社の平均値は約75%、大学プロジェクトにおいては約90%が目標金額を達成しております。成功のコツは100のプロジェクトがあれば100通りの達成の仕方があり、一概には言えませんが、先ほどの同心円のような戦略をしっかりと立てれば支援を集められる、再現性のある仕組みであると私たちは考えています。ーー大学におけるA層・B層・C層には、それぞれどのような人が当てはまるのでしょうか?金久保さまA層の方は、先生のご友人などが多いですね。直接LINEやメールができる関係性の人であったり、大学時代の同級生だったりがA層にあたります。B層は卒業生など大学コミュニティの方々が当てはまります。C層については地方大学であれば、その地方の地域の方々だったりになります。プロジェクトの内容によって同心円の定義も変わってくるため、一概には言えませんが、大きく上記のような定義づけをしながらプロジェクトごとにブレイクダウンしていく傾向が多いです。ーーさまざまな層の方と関わっていく中で、大学がクラウドファンディングを行った事例での反響にはどのような声がありましたか?金久保さま弊社のプロジェクトページには「応援コメント」という欄があり、支援者の方が実行者の方にコメントを寄せることができます。応援コメントなどを通して、大学や病院に「命を救ってくれて大変感謝している。いつか恩返しがしたかった。このような機会を与えてくれてありがとう」や「○○先生の研究は〜〜な病気を治療するための希望です。ぜひ応援しています」という声をいただく機会が多くあります。クラウドファンディングは、一人ひとりの想いの乗った支援が集まるんです。先生方のご意見・ご感想をお伺いすると、「支援者の方の熱い想いが詰まったお金を背負って、自分の研究に没頭できるのは何よりも研究者冥利に尽きる。大変だったけどやって良かった」というようなご感想をいただくことが多いですね。大学におけるクラウドファンディングのメリットーークラウドファンディングが支援者にとって恩返しの機会になっているのですね!READYFORさまからの目線で、大学にとってのクラウドファンディングをしていくメリットについてもお聞きしたいです。金久保さま先生方にとってのメリットと、大学事務局さまにとってのメリットのそれぞれがあると感じています。まず、大学の先生方にとってのメリットは、例えば運営費交付金や奨学寄付金の減少、競争的資金の獲得が難しい、もしくは獲得できるかわからないという状況の中で、クラウドファンディングという選択肢をご自身の研究をするにあたって1つの武器として持っておくことだと思います。もちろん、先ほどお話しさせていただいたように、研究者の方々が支援者の想いを背負って自分たちの研究を進められるのも大きなメリットです。クラウドファンディングによって、ご自身の研究を知っていただくという広報効果もあるのではないでしょうか。ーー大学事務局にとってのメリットはいかがでしょうか?金久保さま大学事務局さま側、例えば基金室さまや校友会事業部さまなど、寄付金額の向上を目指していらっしゃる部署の方々のメリットは、1つのプロジェクトで、個人や法人からの寄付を数百~数千人から集める可能性を秘めていて、クラウドファンディングを入口に、大学へOB・OGの方から寄付をしてもらうきっかけを作ることにも繋がることです。クラウドファンディングから始まって、その後も寄付者さまとコミュニケーションを取り続けることによって、大学本部に対する寄付に繋げていける可能性も秘めているところは事務局さまにとってもメリットなのではないでしょうか。ーー1つのプロジェクトを次に繋げていくには継続したコミュニケーションが大切なのですね。具体的には一度寄付していただいた方へのアプローチはどのように行えば良いのでしょうか?金久保さま可能性としてあるのは、READYFORのプロジェクトページ上に「新着情報」というブログ機能を活用いただくことです。新着情報に関しては募集を終了した後も随時更新できるようになっており、継続的に支援者さまへの感謝の気持ちをお伝えしたり、皆さんからご支援いただいた支援金を実際どういう風に使っているのかなど、アウトプットも見えるようにしていただくとより良いかなと思います。支援者さんとコミュニケーションをとっていただくことで、2回目のクラウドファンディングに挑戦するときにもご支援いただけるような関係を構築していくことができるのではないでしょうか。READYFORが選ばれる理由ーー大学が行うクラウドファンディングの過半数のプロジェクトをREADYFORさまは担当されていますが、READYFORさまが数々の大学に選ばれる理由をお聞きしたいです。金久保さま手前味噌で大変恐縮ではございますが、達成率の高さかと思います。弊社ではプランに応じて「キュレーター」というプロジェクト専属の担当者がつき、プロジェクトの立案から目標金額達成に向けて伴走サポートをしています。具体的には、プロジェクトページ作成やリターン設計のアドバイス、プロジェクトを世の中に広めるための広報戦略のアドバイスなどを行っています。そのため、弊社平均では約75%、大学関連のプロジェクトでは90%以上という数字で目標金額を達成しています。大学さまのお名前を出してクラウドファンディングを実施するからには、「目標金額を達成し成功させたい」という大学さまは多いのではないでしょうか。READYFORにお声掛けをいただければ、期間中は大変なこともあるかもしれませんが、しっかりと伴走させていただきます。ーー先ほどのお話でもありましたが、医療系の大学の先生方と寄り添ってプロジェクトを進めていくにあたって、気を付けていることはありますか?金久保さま可能な限り勉強させていただくことです。専門的な内容もありますが、クラウドファンディングのプロとして、そのプロジェクトの趣旨をしっかりと理解できるように努め、広報施策や、支援者の方々に対していかにして伝えていくかアドバイスをしています。ーーなるべく近い目線で寄り添う、ということでしょうか?金久保さま命の狭間の現場に立っていらっしゃる先生方も多い中、同じ目線になることはなかなかできることではありません。ただ、しっかりと先生の置かれているご状況を理解できるよう努め、伴走サポートしています。ーーさいごに、クラウドファンディングに挑戦してみたいとお考えの大学さんに向けて、何かメッセージをいただければと思います。金久保さまクラウドファンディングは、新たな資金調達の1つの手段として捉えていただけると良いかなと思っています。交付金などは数億、数十億単位ですので、クラウドファンディングで集まる金額の規模は異なります。年間で大学全体でのクラウドファンディング寄付金額が1億円を超えるような大学さまは今はまだ少ないですが、クラウドファンディングを通じて寄付を集める活動はスタンダードになりつつあります。これからより多くの大学さまの寄付集めに寄り添い、活用促進していきたいと強く思っています。最初はインターネットでお金を集めるという側面をハードルに感じる大学さまもいらっしゃるかもしれません。しかし、弊社では40校近い大学さまと提携し資金調達サポートをしてきましたので、はじめの一歩として、少しでもクラウドファンディングにご関心のある方はぜひご相談いただければと思います。【大学向けクラウドファンディングのご相談はこちら!】https://readyfor.jp/lp/college/