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卒業生が本当に求める大学の情報・サービスは何か? 一般卒業生850人にアンケートを実施

 

近年、新しく校友・社会連携部署が立ち上がったり、校友会/同窓会の運営を見直すなどの大学が徐々に増え、卒業生領域の重要性が学校業界に浸透し始めています。

各大学では卒業生を対象にしたイベントや施策を行っていると思いますが、卒業生が本当に求めるコンテンツがどういったものなのかが分からず、施策検討の段階で頭を悩ます担当者も多いのではないでしょうか?

そこで今回、ネットリサーチ会社協力のもと、実際に卒業生が母校や母校の校友会に何を求めているのか、どのようなサービスがあったら嬉しいかなどのアンケート調査を実施しました。

また、アンケート調査の結果をもとに適切な校友会運営・卒業生サービスの内容を考察しましたので、卒業生施策を担当される皆さまはぜひ業務効率化や企画立案にお役立てください。

 

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<目次>

 

調査に至った背景

大学や校友会は卒業生に向けて、校友会報誌を郵送して大学の近況について情報を発信したり、ホームカミングデーをはじめとした各種イベントを開催しています。

また、Webサイトを運営して校友会活動をお知らせするなど、いわゆる「卒業生サービス」を提供して卒業生とのコミュニケーションを図っています。

※「卒業生サービス」の定義や内容、提供目的についてはこちらの記事をご覧ください。

 

しかし、「いざイベントを開催してみても全然参加者が集まらなかった」「SNSやWebサイトを更新したけどアクセス数が伸びない」というように、校友会側が提供する情報と、卒業生が求めている情報に乖離がある、という課題はどの大学でも共通してあるのではないでしょうか。

そこで今回、「卒業生は母校や校友会に何を求めているのか」をテーマにアンケートを行い、卒業生が提供してほしいと思っている情報やサービスは何なのかを調査しました

海外ではキャリア支援サービスのニーズが高いという統計データがあり、キャリア支援やメンターシップに関するサービスに力を入れている大学もあります。(参考:https://www.peoplegrove.com/success-stories/university-of-kansas-scales-career-services/)

日本の大学の卒業生は母校にどんなことを求めているのでしょうか。調査結果をもとに大学や校友会はどのような形で卒業生サービスを提供していくべきなのかを検討してみましょう。

 

アンケート実施概要・結果解説

  • 調査集計期間
    • 2022年9月22日~2022年10月5日
  • 調査対象
    • 大学を卒業した25~55歳の男女850名
    • 男性:女性=453:397
    •  20代 230人 (男108、女122)
    •  30代 223人 (男115、女108)
    •  40代 227人 (男120、女107)
    •  50代 170人 (男110、女60)
  • 調査方法
    • インターネット調査

Q1. 大学には卒業生のための組織「校友会 (全学同窓会)」が存在することを知っていますか?

※グラフはクリックすると拡大します。

卒業生を対象にした施策を行う大学は徐々に増えてきていますが、約半数近くはその存在を知らないという結果が出ました。

認知度が高くない中で施策を行ったとしても集客には結びつきにくいため、まずは校友会自体の認知度の向上もあわせて考えていく必要があるでしょう。

 

Q2. 大学は卒業生に母校の情報や寄付の案内などを発信していますが、どんな媒体だと受け取りやすいですか?(複数回答可)

データからも分かるように、紙・冊子の郵送による情報発信は各年代で高いニーズがあります

近年では電子コミックや電子雑誌などの電子書籍が台頭していますが、売り上げが増加し始めているのは電子コミックくらいで、世間では電子書籍よりも紙書籍の方がまだまだニーズが高いのが現状です。(参考データ:https://hon.jp/news/1.0/0/32230)

ただし、受け取り手のニーズがある一方、紙・冊子の発行は印刷・郵便代など1番コストが高い情報発信手段です。
また、デジタルと比較して読了率やアクセス数などの反応を測定しづらいというデメリットもあります。

こうしたデメリットを加味すると、SNSやWebによる情報発信ともうまく組み合わせるのがよいでしょう。

特に、一般SNSの発信は50代以外の幅広い年代にニーズがあることが分かります。
会報誌のデジタル化に取り組む大学も徐々に増えていますが、年数回の紙郵送による会報誌の発行と、日々のWeb・SNS発信を両立させることが適切な情報発信の形といえるのではないでしょうか。

 

Q3. 大学卒業後、大学に関する情報でどのようなことを知りたいですか?(複数回答可)

ニーズが高い情報は、自身が直接関わっていたキャンパスや学部、サークルの活動状況についてです。

また、「卒業生が参加できるイベント情報」「卒業生限定で利用できるサービスや特典の紹介」についても、自分にとってメリットが感じられること (母校を訪ねることができる、同窓生と繋がれる、卒業生割引で利用できる施設やサービス情報など) であれば受け取りたい卒業生も多いことが分かりました。

一方、校友会のWebサイトや会報誌でよく見かける「在学生・卒業生インタビュー」は、他と比べあまりニーズは高くありません。
同窓生とはいえ、自分とまったく関わりのない方の紹介はあまり興味を引く情報とは言えないのかもしれません。

ただし、母校に自分の子どもを受験させたいと思う保護者や、受験生の進路指導をする高校教師といった層には「在学生や卒業生がその大学に進学して、どのような活躍をしているのかを積極的に発信してほしい」という統計データもあります。(参考データ:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000158.000047308.html)

「在学生・卒業生インタビュー」がニーズのない情報とは一概には言えませんので、コンテンツの使い方やタイミング次第といえるでしょう。

 

Q4. 大学や校友会に力を入れてほしい卒業生向けサービスは、次のうちどれですか?(複数回答可)

1. 図書館や会議室など大学設備の貸し出し
2. キャリア形成やメンターシップに関わる支援
3. 卒業生が経営するお店や飲食店などの紹介
4. 在学生や卒業生同士が繋がれるSNSやコミュニティの提供
5. 求人企業の紹介や仲介
6. リカレント教育、学び直し機会の提供

アンケートの回答選択肢の中で大きく差がついたのは、上記の6つでした。

「キャリア形成やメンターシップに関わる支援」は4人に1人以上が必要としていることが分かりました。

在学生や卒業生同士が繋がれるSNSやコミュニティの提供」も多くの票を獲得しており、大学ネットワークの形成やそこから得られる交流を求める卒業生が多いと推察できます。

「求人企業の紹介や仲介」「リカレント教育、学び直し機会の提供」も5人に1人以上は必要としており、「キャリア形成やメンターシップに関わる支援」と同様にキャリアやスキルアップにかかわるサービスには総じてニーズが高いことが分かります。

 

Q5. どのような卒業生向けイベントに参加したいと思いますか?(複数回答可)

1. 活躍する卒業生(著名人・芸能人)のトークイベント
2. ホームカミングデー
3. 同窓会総会
4. ビジネスネットワーク構築に活かせるビジネス勉強会や異業種交流会
5. 先輩・同期・後輩など狭いコミュニティで交流できるイベント
6. 日常生活で役に立つようなテーマのセミナー

アンケートの回答選択肢の中で大きく差がついたのは、上記の6つでした。

交流会やセミナーなど、新たな人脈を作ったり、有意義な情報を得られるコンテンツの人気の高さがうかがえます。

最も獲得票が多い「活躍する卒業生のトークイベント」は、著名人・芸能人自体の集客力もありますが、同窓生だからこそのプレミア感も参加したいと思わせる要因の1つといえるでしょう。

しかし、年代ごとに各イベントの統計結果を見ると、基本的に大きな差はないことが分かりました。
「先輩・同期・後輩など狭いコミュニティで交流できるイベント」「子育て・育児の相談ができる交流会」「友人と気軽に参加できるカジュアル婚活イベント」など、若手世代の比率が多少多い項目もありますが、全体的に年代ごとの嗜好性に差は見られない結果となりました。

 

Q6. 母校を卒業できてよかったと思える経験・体験はありますか?

約半数近くの方が、母校を卒業できてよかったと思える経験・体験をしている一方で、「いいえ」「どちらともいえない」を選んだ方は、母校の大学に対して無関心であったり、ネガティブな内容の理由も見られました。

【「はい」と回答した人の理由】(自由回答・一部抜粋)

● 資格取得・スキルが身についた
● やりたいこと・研究ができた / 良い先生がいた
● ネームバリューがある / 活躍している卒業生がいる / スポーツやTVで学校名を見ると誇らしい
● 大学で出会い、今でも大切な友人がいる
● 卒業生のネットワークや交流が役に立っている
● 在学時に先輩との良い経験がある / 在学生向けのイベントで卒業生として呼んでもらえた

【「いいえ」と回答した人の理由】(自由回答・一部抜粋)

● ネームバリューがない / 偏差値が低い
● 特に思い入れがない / 得したことがない
● 良い先生がいなかった
● 学んだことが社会に出て役に立っていない
● 卒業後、友人や卒業生との繋がりが切れてしまった / 全くない

【「どちらともいえない」と回答した人の理由】(自由回答・一部抜粋)

● 卒業後、友人や卒業生との交流がない
● ネームバリューがない
● 学んだことが社会に出て役に立っていない
● 大学に行かなくても入社できる会社に就職したから

 

アンケート結果から考察! より適切な情報発信・サービス提供の方法とは

ここからはアンケート結果をもとに、最適な情報発信・サービス提供の仕方について考察していきます。

SNSを使って大学キャンパスの様子を積極的に発信しよう

卒業生にとって、大学から知りたい情報は「自分が通っていたキャンパスや大学の近況」「自分が在籍していた学部やゼミ・部活/サークルの活動状況」が多くの割合を占めており、こうした情報を積極的に発信することが大切です。

また前述したとおり、50代以外はSNSによる情報発信にニーズがあることが分かりました。

年に数回発行の会報誌だけでなく、頻繁に投稿できるSNSで、”今の大学の様子”や”各部活・サークルの活動”を積極的に卒業生に届けるのが有効といえるでしょう。

 

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「キャリア・ビジネス」のコンテンツは幅広い層に高い人気がある

「大学や校友会に力を入れてほしい卒業生向けサービス」の統計結果から、卒業生にはキャリア支援やスキル獲得(学び直し)に高いニーズがあります

これは海外のリサーチ結果と同様の結果であり、世界的にみても卒業生の多くが大学に期待しているポイントでもあります。

実際に生涯学習やリカレント教育に力を入れる大学も多く、それらの取り組みや卒業生サービスが今後の大学のバリューになることは確実といえるでしょう。
また、そうした施策だけではなく、卒業生や在学生がより気軽に参加できるようなカジュアルなキャリアイベントを開催するのもおすすめです。

転職や起業を考える卒業生を対象にしたビジネス交流会や異業種交流会、在学生も参加できるカジュアルなキャリア相談会、テーマごとに卒業生を講師にしたオンライン勉強会など、卒業生のネットワークを存分に発揮できるキャリアイベントは人気の高いコンテンツとなるでしょう。

↓ 早稲田大学校友会の事例

↓ 東京外語会の事例

↓ 関西学院同窓会の事例

上記事例のように、卒業生ネットワークを活用して、キャリア/ビジネスと交流を掛け合わせた卒業生サービスを増やしていくことで、「母校を卒業できてよかったと思える経験・体験はありますか?」のいいえ・どちらともいえないの理由にあった「卒業後、友人や卒業生との交流がない」という不満の解消にも繋がるかもしれません。

 

学生は将来のキャリアをより明確に。大学はそれを手助けする環境が求められる

「母校を卒業できてよかったと思える経験・体験はありますか?」の質問で、「いいえ」「どちらともいえない」を選択した方の意見には、

「学んだことが社会に出て役に立っていない」

「今の職場が大学に進学しなくても就職できる企業だった」

といったものがありました。

こうした回答からは、大学卒業後のキャリアをあまり意識しないまま進学した人が一定数いることがうかがえます。

新型コロナウイルスによりオンライン教育コンテンツが普及し、大学へ進学する意義が見直される時代となった昨今、大学に進学する目的も「将来のキャリアに活かせるスキルを学ぶ」「自分の本当にやりたいことを見つける」という側面が強くなってくるでしょう。

これから大学を受験する学生は、将来のキャリアをより意識することが求められるため、大学も相応の対応をしていかなければなりません。

卒業後に役に立つカリキュラムや活躍する卒業生にフォーカスしたコンテンツ発信など、卒業生のネットワーク(コミュニティ)を活用したキャリア支援などの施策が求められてくるのではないでしょうか。

 

まとめ

アンケート調査をもとに、大学や校友会に求められている最適な卒業生サービス運用について考察していきました。

校友会は卒業生と大学を結びつける大切な役割を担っているからこそ、どのようなコンテンツを作り、発信していくかを常に検討していかなければなりません。

卒業生が大学や校友会に何を求めているのかをきちんと捉え、適切な手段で発信し、施策を実行していくことで、校友会の役割はこれまで以上に重要なものになっていくのです。

今回の記事がよりよい卒業生サービスのご検討の一助となれば幸いです。

 

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どうぞお気軽にご相談ください。

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※この調査結果はネットアンケートで募った一般人に回答していただいた統計であり、校友会関係者の皆さんがこれまで行ってきた活動を否定するものではありません。あくまでもネットリサーチを行って得られた一統計に過ぎず、卒業生のニーズや校友会に求められていることは各大学ごとに違いがあることを念頭に置いたうえでご覧ください。

 

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