
周年事業・周年行事とは? 他大学の事例やwithコロナ時代にできる施策を紹介
50年・100年・125年といった節目に行う「周年事業・周年行事」とは、創立や設立を祝う式典のこと。
10〜12月に開催するケースが多く、創業からの年数が長いほど式典に参加する関係者が増えていき、新校舎増築や動画配信など開催規模も大きくなります。
こちらの記事では、大学の周年事業または周年行事について解説し、各大学の事例をご紹介しながらどのような企画や記念事業を行っているのかをみていきたいと思います。
イベントの中止や延期が相次ぐ昨今、コロナ禍でも開催できる周年行事の企画についてもご紹介します。
周年事業・周年行事の目的
「周年事業・周年行事」を行う主な目的は、学内外の人々に対して感謝の気持ちを伝えるためです。
式典には、名誉教授や部局長といった大学にゆかりのある関係者だけでなく、学生の保護者や近隣住民なども参加します。
周年行事は、大学側にとって校外の人々との関係を深めるきっかけでもあるのです。
主な内容例
「周年事業・周年行事」と一口にいっても、卒業生を招いた懇親会や講演会・シンポジウム開催など大学によって式典の内容はさまざまです。
式典の演目について、具体的な取り組みを挙げながら紹介します。
学習環境の向上を目指し、校舎内に研究室や学食、学生寮などの学内施設を増築する大学が多く見受けられます。
専修大学や目白大学、実践女子大学なども、創立を記念し新校舎を設立。
2019年に創立130周年を迎えた日本大学では、地方からの学生に対する経済的支援として学生寮を新設しています。
さらに、同じく日本大学や創価大学では、周年記念事業に向けて新しく学部を開設しました。
2028年に創立100周年を迎える神奈川大学でも、「みなとみらいキャンパス」の建設や新学部開設に向けて準備を進めているようです。
周年行事の代表的な取り組みとして挙げられるのが、講演会やカンファレンスです。
有名大学の名誉教授が登壇する「講演会・セミナー」、大手企業の代表取締役である卒業生同士が意見交換し合う「企業経営者ディスカッション」など、大学によって内容は千差万別。
特に第一線で活躍するOB・OGの話は、若手卒業生や在学生にとってよい刺激になります。
お笑い芸人やタレント・文化人など著名なゲストであれば、老若男女を問わず幅広い世代でも楽しめるのではないでしょうか。
卒業生を招待して懇親会開催(ホームカミングデーなど)
周年行事の目玉といえば、卒業生も楽しめるホームカミングデーや懇親会の開催。
「ホームカミングデー」とは、卒業生とその家族、元教職員などを大学に招いて行う一大イベントです。
同イベントの一般的な開催時期は10月下旬から11月にかけて。会場には模擬店が設置されるほか、野外ライブや卒業生の座談会、クイズ企画やキャンパスツアーをしながらのスタンプラリーなどさまざまな催しが用意されています。
最近は音楽演奏や著名人のトークショーをライブ中継することも多く、ライブ会場さながらの臨場感を味わえると好評です。
ホームカミングデーの歴史や事例について知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてください。
地域やOB・OGの家族を巻き込んだイベントの開催
「国際交流スポーツ大会」や、ホールを貸し切っての「クラシックギター演奏会」など、大学OB・OG主催のイベントも目白押しです。
大学の部活やサークルの体験会、キッズ向けのスポーツ大会やサイエンス系サークルの実験企画など、大人も子どもも楽しめる家族向けイベントもあるとよいでしょう。
周年事業のための募金活動
周年事業・周年行事の費用は、大学OB・OGからの寄付金によって賄われています。
寄付金が潤沢であればあるほど、校舎を増設したり、著名人を講演会に招待したり、式典の内容も充実するものです。
北九州市立大学同窓会本部が発表した「大学創立70周年記念事業に対する同窓会の「支援募金」についての基本資料」を参考にみていきましょう。
同大学では、同窓会や後援会が一体となり、大学創立70周年記念事業開催に向けて寄付金を募りました。
2015年4月から2017年3月にかけて寄付金募集を行った結果、1億円の調達に成功しています。
集まった寄付金は、新図書館の増築や北方・厚生会館の改修、創立70周年記念誌の制作などに充てられたようです。
開催までのスケジュール
周年事業・周年行事は、開催2〜3年前から準備を行いましょう。
式典開催に向けた具体的なスケジュールは下記の通りです。
準備の流れ | ポイント |
企画立案 (開催2〜3年前) |
● 実行委員を決定(基盤となる組織作り) ● 周年事業の方針と企画内容を決定 ● 式典を開催する目的を明確にしておく ● 周年行事の決裁者にプレゼンを行い、予算概算を決定する |
コンセプト決め (開催1年前~3ヶ月前) |
● 式典会場の手配 ● 来賓・招待者・講師を選定&依頼 ● 広報活動 ● 制作物企画・制作 ● 運営マニュアルの作成 |
リハーサル (開催2ヶ月前~1週間前) |
● 当日の流れをスタッフに説明しておく ● 参加者への配布物を確認 ● 会場設営&リハーサル |
開催当日 | ● 来賓や参加者などの対応 ● 撤収作業 ● 礼状の発送 ● 反省会 ● 報告書の作成&提出 |
他大学の周年事業・周年行事の事例紹介
ここからは過去に各大学が行った周年事業・周年行事の事例をご紹介します。
立命館大学が実施した「みんなでつくる思い出マップ」や、帝京大学の「TEI-tube」など、ユニークな企画が数多く実施されています。
他大学の実例をみていきましょう!
2019年に創立100周年を迎えた立命館大学。
“つながる校友会、ひろがる立命館”を活動コンセプトに掲げ、「100周年記念オール立命館校友大会」や「立命館ミライEXPO」などさまざまな記念イベントを実施しました。
特に注目を集めたのが、「みんなでつくる思い出マップ」。
同校の卒業生が、学生時代に通った飲食店や銭湯、本屋など思い出の場所を投稿し、立命館大学校友会のオリジナルマップをつくるというものです。
卒業生同士の思い出を共有することで、地域貢献にも繋がります。
白山・赤羽台・朝霞・川越・板倉といった、5つのキャンパスをもつ東洋大学。
2012年11月23日に、創立125周年を迎えました。
創立125周年を記念し、白山キャンパスの玄関口には高さ38m、面積約3,515㎡にも及ぶ「125周年記念館」を建設。
記念館は巨大な窓から太陽の光が差し込み、明るく開放的な雰囲気です。
建物は地上8階建てとなっており、約600席の広々とした「食堂ホール」や、講演会・セミナーを開催できる「125記念ホール」などを完備。
ほかにも、英会話を楽しむ「イングリッシュ・コミュニティ・ゾーン(ECZ)」や500名を収容できる「500人教室」など、設備が充実しています。
帝京大学は、医療系や理工系など10学部32学科から構成される総合大学です。
2016年に50周年を迎えた同校では、創立を記念してけん玉やパーカーといったオリジナルグッズを販売。
さらに、帝京大学にまつわるエピソードやトリビア情報を集めた帝京大学50年の「へえ~」など、ユニークなコンテンツを企画しています。
特筆すべきは、ステートメントをベースとした、みんなでつくる動画「TEI-tube」です。
放送研究会がリポートした創立記念式典の様子や、福岡・八王子・板橋を含めた計5箇所のキャンパス紹介などさまざまな動画をアップ。
動画配信は、外部に大学の魅力をアピールするきっかけにもなります。
2012年に創立100周年を迎えた成蹊学園では、校舎への3Dプロジェクションマッピングを実施。
当時、3Dプロジェクションマッピングを使った国内最大規模のイベントとして話題になりました。
暗闇の中にブルーやオレンジの光に彩られた校舎が浮かび上がり、幻想的な雰囲気に。
約1万人の来場者が訪れ、記念イベントの開催期間中、キャンパス周辺は多くの来場者で賑わっていたようです。
withコロナ時代でも実施できる周年記念事業

多くの大学では、同窓会やホームカミングデーといったイベントをオンラインに切り替えて実施しています。
ここでは「動画メッセージの配信」や「オンライン講演会」など、withコロナ時代でも実施できる周年記念事業を紹介していきます。
東京基督教大学や大阪市立大学では、創立記念式典をオンラインで実施。
ZoomなどのWeb会議ツールは、ネット環境さえ整っていれば、遠方や海外在住にかかわらずどこからでも参加することができます。
また、オンラインなら会場設営やリボン記章の手配などの準備が不要。
開催にかかるコストを大幅に削減できるのも大きなメリットだといえます。
カットした運営費用を、オリジナル周年記念グッズの種類を増やしたり、企画を充実させたりコンテンツ制作に充てることが可能です。
大学設立の背景やこれまでの歴史、今後予定している記念事業などを、学長や理事長、卒業生著名人からのメッセージを動画配信するというものです。
大学内をまわり、学生寮や食堂といった設備を紹介するのも良さそうです。
周年記念イベントの事例ではありませんが、名古屋大学では2020年に開催したオンラインホームカミングデーのイベントの1つに「名大今昔物語 ~学食総選挙2020☆GENERATIONS~」という配信企画を行いました。
昭和から平成まで懐かしの学食メニューを各世代別にランキングし、卒業生に当時の学食の様子をインタビューし併せて配信するというものです。
筑波大学でも、2020年6月に開催したオンライン大同窓会「ツクバナーーーーシ ~筑波大学今昔物語~」というクラウドファンディング応援企画にて、卒業生著名人をゲストに招き、大学や学園祭の今と昔についてトークセッションを行い、動画配信しています。
インターネットやSNSの普及により、若者の活字離れが進む時代。
動画なら若年層にも見てもらえる機会が増え、テキストでは伝えきれない雰囲気や理念などもアピールしやすくなります。
下記の記事では、大学のさまざまな行事に最適な各オンラインツールについて解説しています。
オンラインでのイベントのツール選定に悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください!
周年記念サイトの制作は、大学のプロモーション効果が期待できます。
立命館大学や明治大学、日本大学といった多くの大学では、創立記念事業特設サイトを開設。
周年記念ロゴデザインの紹介や新校舎の案内、卒業生インタビューなどを掲載しています。
記念品の配布
周年行事を開催するほとんどの大学では、オリジナル記念グッズを制作しています。
グッズは参加者に手渡しするのが基本ですが、オンライン開催の場合は自宅配送となるでしょう。
【参考例】他大学の創立記念グッズ
● 奈良女子大学・・・オリジナル写真集/記念切手シート
● 専修大学・・・専修大学まんじゅう/専大クッキー
● 昭和大学・・・オリジナルフレーム切手/記念どら焼き/記念クッキー
● 帝京大学・・・けん玉/Tシャツ/ロングTシャツ/パーカー/コーチングジャケット
● 金城学院大学・・・オーデコロン/ハンドクリーム
アフターコロナ時代で効果的な施策を
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、今後はオンライン開催のイベントがさらに活発になることが予想されます。
2020年、2021年はリアルからオンラインのイベントに切り替えた大学が多かったのではないでしょうか。
会場に到着するまでの高揚感や会場の一体感、参加者同士でコミュニケーションを楽しめるなど、リアルならではの魅力があります。
新型コロナウイルスが落ち着けば、少人数でのリアルイベントも開催できるのではないでしょうか。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大が続く昨今、オンラインイベントが主流になっていくでしょう。
オンラインなら、事前準備にかかる時間と労力が減り、主催者側のストレスも緩和されます。
さらに先にも述べたように、遠方や海外に在住している方も、場所や時間に制限されずにイベントに参加することが可能です。
とはいえ、オンラインは参加者の集中力が切れやすく中弛みする可能性も。時間に余裕を持ってスケジュールを組み、誰もが楽しめるコンテンツを企画しましょう。
周年行事は、開催して終わりではありません。地域住民やOB・OGを巻き込んだイベントを開催し、大学の発展に向けた施策を継続していくことが重要です。
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